子宮筋腫が妊娠に与える影響とは?将来の出産に向けて知っておきたい知識
「子宮筋腫と診断されたけれど、このまま妊娠を目指してもいいのだろうか」と、先の見えない不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
子宮筋腫があっても妊娠・出産に至っている方は多く、筋腫の種類や発生部位によって妊娠への影響は大きく異なります。
一方で、放置することで不妊や流産リスクに関わるケースも存在するため、自分の筋腫がどのタイプかを把握することが重要です。
この記事では、妊娠に影響しやすい筋腫・しにくい筋腫の違いから、妊娠中の対応・治療の選択肢まで順を追って解説します。
子宮筋腫ができる原因

子宮筋腫の発生には、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが深く関わっていると考えられています。
エストロゲンは筋腫細胞の増殖を促す働きがあり、妊娠可能な年齢の女性に子宮筋腫が多く見られるのはこの影響が大きいとされています。
妊娠中はエストロゲンの分泌量が増加するため、もともとあった筋腫が増大しやすくなるケースがある点も知っておきたいポイントです。
発生メカニズムの全容はまだ解明されておらず、遺伝的素因や生活習慣なども複合的に関与していると考えられています。
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妊娠に影響を与えづらい子宮筋腫とは

子宮筋腫があるからといって、必ずしも妊娠・出産に支障をきたすわけではありません。
ここでは、妊娠への影響が比較的小さいとされる筋腫の特徴を解説します。
小さな筋層内筋腫
筋層内筋腫のうち、1センチないし2センチ以下で子宮内腔への突出がなく小さいものは、妊娠への影響が限定的とされています。
子宮内腔の形状が保たれていれば、受精卵の着床や胎児の発育を大きく妨げない場合が多いです。
ただし、筋腫の位置や数によっては経過とともに影響が生じることもあるため、定期的な超音波検査で変化を確認することが重要です。
妊娠を希望する場合は、事前に専門医へ現在の筋腫の状態を評価してもらうことが安心につながるでしょう。
漿膜下筋腫
漿膜下筋腫は子宮の外側に向かって発育するため、子宮内腔への影響が比較的少ないとされています。
着床や胎児の成長に必要な子宮内腔のスペースが保たれやすいため、妊娠経過に影響しないケースも多く見られます。
ただし、筋腫が非常に大きくなった場合や、子宮への血流に影響を与える位置にある場合は注意が必要です。妊娠した場合、漿膜下筋腫が産道を塞ぎ、帝王切開になることもあります。
漿膜下筋腫であっても、妊娠前に一度専門医による評価を受けておくことが望ましいでしょう。
妊娠に影響を与える可能性のある子宮筋腫とは

筋腫の種類や状態によっては、不妊や流産リスクの上昇など、妊娠・出産に影響を及ぼすことがあります。
ここでは、とくに注意が必要な筋腫の種類とそのリスクを解説します。
粘膜下筋腫
粘膜下筋腫は子宮内腔に突出するように発育するため、妊娠への影響がとくに大きいタイプです。
子宮内腔の形状が変化することで受精卵の着床を妨げたり、着床後の胎盤形成に影響を与えたりする可能性があります。
また、流産リスクの上昇との関連も指摘されており、妊娠を希望する場合には、治療を先行させるか否かについて専門医と慎重に検討する必要があります。
小さい筋腫であっても内腔への影響が大きいため、サイズだけで判断せず、超音波検査やMRI、子宮鏡を用いた精密な評価が重要です。
大きな筋層内筋腫
筋層内筋腫は通常、妊娠への影響が限定的なタイプです。
しかし、筋腫が大きくなると子宮内腔の変形を招き、着床や胎児発育に影響する場合もあります。
筋腫が子宮内腔側に近接している場合は、粘膜下筋腫に近い影響が生じることもあるため注意が必要です。
また、妊娠中に筋腫が増大したり変性を起こしたりすることで、腹痛や早産リスクが高まるケースも報告されています。
妊娠前の段階で筋腫の大きさと位置を把握しておくことが、リスクを適切に管理するうえで重要です。
子宮口・卵管付近の筋腫
筋腫の発生位置が子宮口や卵管開口部の近くにある場合、精子や受精卵の通過を物理的に妨げる可能性があります。
このような位置の筋腫はサイズが小さくても不妊の一因となりうるため、不妊検査の際に位置の評価が欠かせません。
通常の超音波検査だけでは把握しにくい場合もあり、子宮卵管造影検査やMRIを組み合わせた精密検査を検討することが重要です。
不妊の原因を調べる過程でこのタイプの筋腫が発見された場合は、治療の適応について専門医と十分に話し合うことが望ましいです。
子宮筋腫がある状態で妊娠を目指すときに大切なこと

子宮筋腫があっても妊娠を目指すことは可能ですが、事前に押さえておきたいポイントがいくつかあります。
ここでは、妊娠前から意識しておきたい3つの点を解説します。
妊娠前に筋腫の状態を把握しておく
妊娠を考え始めたタイミングで、まず自分の筋腫の種類・位置・大きさを正確に把握することが重要です。
同じ子宮筋腫でも、粘膜下筋腫と漿膜下筋腫では妊娠への影響がまったく異なるため、種類の確認なしに妊娠への影響を判断することはできません。
超音波検査だけでは詳細な評価が難しい場合もあり、MRI検査を組み合わせることでより正確な情報が得られることがあります。
「以前に筋腫があると言われた」という方も、時間の経過とともに状態が変化している可能性があるため、妊娠前に改めて検査を受けることが大切でしょう。
主治医と治療方針を事前にすり合わせる
妊娠を希望していることを主治医に伝え、「治療をしてから妊娠を目指すのか」「そのまま妊娠を試みるのか」について、事前に方針を確認しておきましょう。
筋腫の状態によっては、先に治療を行うことで妊娠しやすい環境を整えられるケースがある一方、治療後の回復期間を考慮すると妊娠のタイミングに影響することもあります。
治療法によって、術後に妊娠を試み始められる時期の目安が異なるため、年齢や妊娠希望時期も含めて医師と具体的に話し合うことが大切です。
自己判断で治療を先延ばしにしたり、逆に急いで手術を選択したりせず、個々の状況に応じた判断を専門医と一緒に行いましょう。
妊娠中に備えて体の状態を整える
子宮筋腫がある場合、妊娠中に筋腫が増大したり変性を起こしたりするリスクがあるため、妊娠前から体の状態を整えておくことが大切です。
過多月経による鉄欠乏性貧血が続いている場合は、妊娠前に貧血を改善しておくことが母体の負担軽減につながります。
また、筋腫の影響で月経痛や慢性的な下腹部痛がある方は、それらの症状が妊娠継続中の体調管理を難しくする場合があります。
症状のコントロールについても、医師に相談しておくことが望ましいです。
妊娠中・出産時に子宮筋腫が発見された場合

妊娠中に初めて子宮筋腫が見つかるケースも珍しくなく、その対応は筋腫の状態や妊娠経過によって異なります。
ここでは、妊娠中・出産時に筋腫が発見された際の対応と注意点を解説します。
妊娠中の経過観察
妊娠中に発見された筋腫の多くは、すぐに治療介入が必要なケースではなく、定期的な超音波検査で経過を観察する方針がとられます。
妊娠中は手術などの侵襲的な治療が原則として避けられるため、筋腫の変化を慎重にモニタリングしながら妊娠の継続を優先することが基本です。
筋腫が変性を起こした場合、腹痛や発熱が生じることがあり、症状が強い場合は入院管理が必要になることもあります。
妊娠中に腹痛や出血などの異常を感じた際は、速やかに担当医に連絡することが重要です。
帝王切開時の筋腫核出術
帝王切開が予定されている場合、同時に筋腫核出術(筋腫を取り除く手術)を行うことが検討されるケースがあります。
ただし、妊娠中の子宮は血流が豊富なため出血リスクが高く、実施できる条件や筋腫の位置・大きさには制限があります。
帝王切開と同時に核出術を行うか否かは、母体と胎児双方の安全を考慮したうえで産科医が総合的に判断することです。
手術を希望する場合も、リスクと利益について事前に医師と十分に話し合うことが欠かせません。
産後の治療方針の検討
出産後、授乳期間が落ち着いた段階で、改めて筋腫の状態を評価し治療方針を検討することが一般的です。
産後は女性ホルモンの状態が変化するため、筋腫のサイズが変動することもあります。
次の妊娠を希望する場合や、過多月経・貧血などの症状が続く場合は、産後の回復を見ながら専門医と治療の必要性を検討しましょう。
産後に適切なタイミングで婦人科を受診し、筋腫の現状を把握しておくことが次のステップの判断につながるでしょう。
子宮筋腫の治療が必要になった場合の選択肢

症状や妊娠への影響が懸念される場合、筋腫に対する治療を検討することになります。
ここでは、代表的な治療選択肢とそれぞれの特徴を解説します。
経過観察
症状が軽微で妊娠への影響が少ないと判断された場合、すぐに治療を行わず定期的な検査で状態を追う「経過観察」が選択されることがあります。
子宮筋腫は閉経後に縮小する傾向があるため、症状が生活に支障をきたしていない場合は経過観察が適切な場合も多いです。
ただし、経過観察中も筋腫が増大したり新たな症状が現れたりする可能性があるため、定期検診を欠かさないことが前提となります。
「何もしない」ではなく「状態を見守りながら適切なタイミングで対処する」という積極的な選択であると理解しておくことが大切でしょう。
薬物療法
子宮筋腫の薬物療法では、GnRHアゴニストなどのホルモン系薬剤が用いられることがあります。
これらは、一時的にエストロゲンの分泌を抑えることで、筋腫を縮小させる作用が期待されます。ただし、使用期間に制限があるため、投与中止後に筋腫が再び大きくなるケースがあることも想定しておかなければなりません。
月経痛や過多月経などの症状緩和を目的として用いられるケースや、手術前の前処置として活用されるケースもあります。
薬物療法の適応や種類は個々の状態によって異なるため、専門医と相談のうえ選択することが重要です。
子宮筋腫核出術(手術療法)
子宮を温存しながら筋腫だけを取り除く「子宮筋腫核出術」は、妊娠を希望する方に選択されることが多い治療法です。
腹腔鏡下手術や開腹手術など、筋腫の大きさや位置によってアプローチが異なります。
術後は子宮に傷が残るため、妊娠・出産時には子宮破裂のリスクを考慮した管理が必要になる場合があります。具体的には、帝王切開による分娩が勧められます。
手術のメリットとリスクについて十分に理解したうえで、将来の妊娠希望も含めて医師と方針を決めることが大切です。
【関連記事】子宮筋腫の手術を徹底解説!術式ごとのメリット・デメリットや流れを紹介
HIFU(高密度焦点式超音波治療)
HIFUは、体外から照射した超音波を子宮筋腫に集中させ、発生した熱によって筋腫組織を変性させる治療法です。
変性した組織はその後、体内で徐々に処理・吸収されていくため、時間の経過とともに筋腫の縮小が期待されます。なお、治療直後に大きく変化するわけではなく、縮小には一定期間を要します。
メスを使わずに行えることから身体への負担が比較的少なく、入院期間も短い傾向にあるため、仕事や日常生活への影響をできるだけ抑えたい方に検討される治療です。
また、子宮の温存によって妊娠しやすくなる可能性があるため、将来的な妊娠を希望する方にとっても選択肢の一つとなっています。手術後は傷のために帝王切開になりますが、HIFUでは傷がなく、帝王切開は必要ないと考えられています。
ただし、すべての子宮筋腫に適応できるわけではありません。筋腫の位置・数・大きさなどによっては実施が難しい場合もあります。
HIFU治療を希望する場合は、専門医による診察や画像検査を受け、適応条件を確認することが大切です。
まとめ
子宮筋腫が妊娠・出産に与える影響は、筋腫の種類・位置・大きさによって大きく異なり、すべてのケースで妊娠に支障をきたすわけではありません。
正確な状態の把握と専門医との連携が、将来の妊娠・出産に向けた適切な判断の土台となります。
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