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子宮腺筋症と子宮筋腫の違いとは?主な症状・原因・治療方法の観点で徹底解説

子宮腺筋症と子宮筋腫の違い

「子宮腺筋症と子宮筋腫は何が違うのか」「自分の症状はどちらに当てはまるのか」と疑問を抱く方は少なくないでしょう。

この2つの疾患は、どちらも子宮に関わる良性の疾患で症状が似ているため混同されやすいですが、病変の性質・発生の仕組み・治療のアプローチが根本的に異なります。

違いを正確に理解することで、自分の症状に対して適切な受診行動をとりやすくなります。

この記事では、子宮腺筋症と子宮筋腫の定義・原因・症状・治療方法を比較しながらわかりやすく解説します。

子宮腺筋症と子宮筋腫の定義

子宮腺筋症と子宮筋腫は、どちらも子宮に生じる疾患ですが、病変の種類と発生する場所がまったく異なります。

子宮腺筋症とは

子宮腺筋症は、本来子宮の内側を覆う子宮内膜の組織が、子宮の筋層内に入り込んで増殖する疾患です。

月経のたびにその組織が出血と炎症を繰り返すことで筋層が肥厚し、子宮全体が硬く大きくなっていきます。

腫瘤として局在するのではなく病変が筋層に広がる点が、子宮筋腫との大きな違いの一つです。

【関連記事】子宮腺筋症を放置するとどうなる?症状の変化と疾患のリスクを解説

子宮筋腫とは

子宮筋腫は、子宮の筋層を構成する平滑筋細胞が増殖することで形成される良性腫瘍です。

発生部位に応じて、筋層内筋腫・粘膜下筋腫・漿膜下筋腫の3種類に分類され、それぞれ症状の現れ方が異なります。

子宮腺筋症と異なり病変が境界をもった塊として存在するため、画像検査で位置や大きさを把握しやすい特徴があります。

【関連記事】子宮筋腫とは?発症するメカニズムや具体的な治療法をわかりやすく解説

子宮腺筋症と子宮筋腫が発生する原因の違い

2つの疾患は、いずれも女性ホルモンの影響を受けますが、発生のきっかけや背景となるメカニズムには違いがあります。

比較点子宮腺筋症子宮筋腫
主な原因子宮内膜組織の筋層への侵入・女性ホルモンの関与平滑筋細胞の遺伝子変異・女性ホルモンによる増殖促進
発症しやすい背景出産・手術など子宮への物理的な既往・子宮内膜症の存在遺伝的素因・肥満などの生活習慣
ホルモンとの関係エストロゲンが病変の維持・拡大に関与エストロゲン・プロゲステロンが腫瘍の増殖を促進

以下で、子宮腺筋症と子宮筋腫が発生する原因を詳しくみていきましょう。

子宮腺筋症の原因

子宮内膜組織の筋層への侵入

出産・帝王切開・子宮内手術などによって子宮内膜と筋層の境界部分が傷つくと、内膜組織が筋層内へ入り込みやすくなると考えられています。

侵入した組織が月経周期のたびにホルモンの影響を受けて、出血・炎症を繰り返すことで、筋層の肥厚と線維化を引き起こします。

女性ホルモンの持続的な影響

筋層に入り込んだ内膜組織は、エストロゲンに反応して増殖し、毎月の出血サイクルを通じて炎症を蓄積させていきます。

閉経後にエストロゲン分泌が低下すると症状が落ち着くケースが多く、ホルモン環境が病変の維持に深く関わっていることを示しています。

遺伝的素因

母親や姉妹に子宮腺筋症の既往がある場合、発症リスクが高まる可能性が指摘されています。

遺伝的素因があるからといって、必ず発症するわけではありません。

ホルモン環境や生活習慣などの要因と組み合わさることで、発症に至ると考えられています。

子宮筋腫の原因

平滑筋細胞の遺伝子変異

子宮筋腫は、一個の平滑筋細胞に生じた遺伝子変異を起点として腫瘍が形成されると考えられています。

変異した細胞がホルモンの刺激を受けながら増殖を繰り返すことで、筋腫として認識される大きさへと成長していきます。

女性ホルモンによる増殖促進

エストロゲンとプロゲステロンが筋腫細胞の増殖を促すため、ホルモン分泌が活発な生殖可能年齢に多く発見される傾向があります。

閉経後に筋腫が縮小しやすいのも、ホルモン分泌の低下が増殖の促進因子を取り除くためと考えられています。

生活習慣・体質的な背景

肥満は体内でのエストロゲン産生量を増加させるため、筋腫の発症リスクを高める可能性があるとされています。

遺伝的素因との組み合わせも関与していると考えられており、家族に子宮筋腫の既往がある方は、定期的な婦人科検診を受けることが望ましいでしょう。

子宮腺筋症と子宮筋腫の主な症状の違い

子宮腺筋症も子宮筋腫も、月経に関連した症状が中心ですが、症状の強さや現れ方には違いがあります。

主な症状子宮腺筋症子宮筋腫
月経痛年々悪化する強い月経痛が特徴的筋腫の種類・位置によって差がある
月経量過多月経が生じやすい粘膜下・筋層内筋腫で増加しやすい
慢性的な痛み非月経期にも骨盤痛が続くことがある比較的少ないが大きな筋腫では圧迫痛が出ることも
腹部の膨らみ子宮全体の腫大による膨らみ大きな筋腫による局所的な膨らみ
無症状のケース比較的少ない小さい筋腫では無症状のことが多い

以下で、子宮腺筋症と子宮筋腫の症状の違いをわかりやすく解説します。

子宮腺筋症の主な症状

進行性の月経痛

子宮腺筋症の月経痛は、毎年じわじわと強くなる進行性の経過をたどる点が特徴です。

鎮痛薬が効きにくくなる、生理期間中に動けなくなるほど痛みが強まるという変化は、腺筋症が関与しているサインとして見逃せません。

過多月経

筋層の肥厚によって子宮の収縮機能が低下すると、経血がスムーズに排出されず出血量が増加しやすくなります。

「以前より明らかに出血量が増えた」「塊が頻繁に出る」といった変化は、放置せず医療機関に相談する目安のひとつです。

非月経期の慢性的な骨盤痛

筋層内で繰り返される炎症が蓄積すると、月経期間以外にも骨盤周囲に鈍い痛みや重だるさが続くことがあります。

エストロゲンが増加する排卵期に症状が強い方もおられます。

腰痛・排便時の不快感として現れるケースもあり、婦人科疾患との関連に気づきにくい症状のひとつです。

子宮の腫大

子宮そのものが大きくなり、下腹部の膨らみや圧迫感として感じられることがあります。

筋腫のような局所的な腫瘤ではなく、子宮全体が均一に肥大する点が、画像検査での鑑別ポイントのひとつです。

子宮筋腫の主な症状

過多月経と貧血

粘膜下筋腫や大きな筋層内筋腫では、子宮内腔の面積拡大や収縮機能の低下によって月経血量が著しく増加することがあります。

出血量の増加が慢性的に続くと、鉄欠乏性貧血につながり、疲労感・めまい・動悸などの全身症状として現れることがあります。

圧迫による頻尿・便秘

筋腫が大きくなると膀胱や直腸を物理的に圧迫し、頻尿・排尿困難・便秘といった症状が生じることがあります。

これらは婦人科疾患との関連が見落とされやすく、他科を受診しても原因が特定されないまま症状が長引くケースがあります。

腹部の膨らみ・圧迫感

漿膜下筋腫や大きな筋層内筋腫では、腹部が外から見てもわかるほど膨らんだり、下腹部に重だるい圧迫感が生じたりすることがあります。

体型の変化と混同されやすいため受診が遅れるケースもあり、気になる変化は早めに婦人科で確認することが大切です。

不妊・流産リスクへの影響

粘膜下筋腫や子宮口付近の筋腫は、受精卵の着床を妨げたり流産リスクを高めたりする可能性が指摘されています。

妊娠を希望する方は筋腫の種類と位置を正確に把握したうえで、治療の必要性について専門医と事前に話し合うことが重要でしょう。

子宮腺筋症と子宮筋腫の治療方法の違い

基本的な治療の方向性は共通する部分もありますが、病変の性質の違いから手術療法のアプローチが大きく異なります。

治療方法子宮腺筋症子宮筋腫
薬物療法ホルモン製剤・IUSなどで症状をコントロールホルモン製剤で縮小・症状緩和を図る
手術療法病変切除は困難なケースが多く、根治は子宮全摘術核出術で子宮温存が可能なケースがある
HIFU治療適応となるケースで病変を熱変性適応となる筋腫に対して切開なしで治療
経過観察閉経が近い・症状が軽微な場合に選択小さく無症状の筋腫は経過観察が基本

以下で、子宮腺筋症と子宮筋腫の治療方法の違いを詳しくみていきましょう。

子宮腺筋症の治療方法

薬物療法・ホルモン療法

低用量ピル・黄体ホルモン製剤・GnRHアゴニストなどを用いて、月経痛や過多月経の緩和と病変の進行抑制を図ります。

根治を目的とするものではなく、閉経まで症状をコントロールしながら生活の質を維持することが主な目標です。

ホルモン放出子宮内システム(IUS)

子宮内に留置するデバイスから黄体ホルモンを持続的に放出し、月経量の減少や痛みの緩和を図る治療法です。

全身へのホルモン投与量が少なく局所的に作用するため、副作用が出にくい選択肢として注目されており、妊娠を希望する際には取り外せる点も特徴です。

HIFU治療

HIFU治療とは、体外から超音波を集束させて病変を熱変性させる治療方法であり、子宮腺筋症にも適応となるケースがあります。

切開を必要とせず入院期間が短いため、仕事や育児と両立しながら治療を進めやすい点が特徴のひとつです。

子宮を直接傷つけずに病変へアプローチできることから、将来の妊娠を視野に入れている方や、手術に抵抗がある方にとって注目される選択肢です。

子宮全摘術

病変が筋層全体に広がる腺筋症は局所的な切除が難しく、症状が重度の場合には子宮全摘術が根治的な選択肢となります。

妊娠を希望しない方や他の治療で十分な改善が得られない方に対して、医師と十分に話し合ったうえで検討される治療法です。

子宮筋腫の治療方法

経過観察

症状が軽微で日常生活への影響が少ない小さな筋腫は、すぐに治療を行わず定期検査で状態を追う経過観察が選択されることがあります。

閉経が近い場合も筋腫の自然縮小が見込まれるため、経過観察が適切な判断となるケースがあります。

薬物療法

ホルモン製剤を用いて、筋腫の縮小や症状の緩和を図ることがあります。

ただし、投与中止後に再増大するケースがあるため、長期的な管理計画が必要です。

手術前の前処置として、筋腫を縮小させる目的で用いられることもあります。

子宮筋腫核出術

子宮を残しながら筋腫だけを取り除く核出術は、妊娠を希望する方を中心に選択されることの多い手術法です。

腹腔鏡・子宮鏡・開腹などアプローチの方法は筋腫の位置や大きさによって異なり、専門医による適切な判断が必要です。

HIFU治療

子宮筋腫に対しても、HIFU治療が適応となるケースがあります。

筋腫に対しては、超音波エネルギーを一点に集中させることで、周囲の正常組織への影響を抑えながら筋腫を縮小させることが期待できます。

体への負担が比較的少なく、術後の生活への影響を抑えやすい治療法の一つです。

筋腫の種類・大きさ・位置によって適応可否が異なるため、まず専門医に自身の状態を評価してもらうことが適切な治療の選択につながります。

子宮腺筋症と子宮筋腫を早期発見するポイント

どちらの疾患も、症状が軽い段階や無症状の段階から存在していることがあるため、定期的な婦人科検診が早期発見のポイントです。

「毎年生理痛がひどくなっている」「最近月経量が増えた気がする」といった変化を記録しておくことで、受診時に医師へ具体的な情報を伝えやすくなります。

自覚症状だけでは、疾患の種類を判断することが難しく、超音波検査やMRI検査による画像評価が正確な診断に不可欠です。子宮腺筋症と子宮筋腫は合併することもありますが、画像診断で鑑別されます。

気になるサインがある場合は「様子を見る」ではなく、「一度確認する」という意識で婦人科を受診することが、治療の選択肢を広げることにもつながるでしょう。

まとめ

子宮腺筋症と子宮筋腫は症状が似ている部分もありますが、病変の性質・発生のメカニズム・治療のアプローチが異なる別々の疾患です。

いずれの疾患も、早期に把握するほど治療の選択肢が広がりやすいため、月経に関する気になる変化を見過ごさず、定期的な婦人科受診を習慣にするのが望ましいです。

一般社団法人 婦人科HIFU研究会」 では、子宮腺筋症・子宮筋腫でお悩みの方が「自分に合った治療を選べた」と感じられるよう、HIFU治療をはじめとした複数の選択肢を丁寧にご説明しながら専門的な診療を行っています。

「自分の症状がどちらの疾患に当たるか知りたい」「手術以外の方法で治療したい」とお考えの方は、ぜひこの機会に当院までご相談ください。