子宮筋腫で手術したくない方へ|論文データで見る手術以外・お腹を切らないHIFU治療
子宮筋腫で手術したくない方へ
婦人科の外来では、子宮筋腫と診断された方から、次のようなご相談をよく受けます。
- 「手術を勧められましたが、できれば受けたくありません」
- 「子宮全摘と言われましたが、気持ちの整理がつきません」
- 「妊娠を希望しているわけではありませんが、子宮は残したいです」
- 「手術以外の治療法は本当にないのでしょうか」
- 「お腹を切らない治療や、日帰りでできる治療があるなら知りたいです」
そうした不安や迷いを抱くのは、とても自然なことです。手術や子宮全摘は、患者さんにとって大きな決断です。すぐに受け入れられなくても無理はありません。
この記事では、国際産婦人科医学誌BJOGに掲載された2,411人の大規模研究を紹介しながら、子宮筋腫に対するHIFU(ハイフ)治療について解説します。
HIFUは、体外から超音波を集束して筋腫を治療する方法で、子宮筋腫の手術以外の選択肢のひとつです。お腹を切らない治療として、手術を避けたい方、子宮を残したい方、日帰り治療を希望する方に検討されることがあります。
HIFUとは|子宮筋腫のお腹を切らない治療

HIFUは、High-Intensity Focused Ultrasoundの略です。日本語では、高密度集束超音波治療、または集束超音波治療と呼ばれます。
体の外から超音波を一点に集め、子宮筋腫の内部に熱を発生させて治療する方法です。手術のようにお腹を開けて筋腫を取り出すのではなく、体外から超音波を照射して筋腫を治療します。
そのためHIFUは、子宮筋腫に対する「切らない治療」「お腹を切らない治療」を探している方にとって、検討しやすい選択肢のひとつです。
HIFUの大きな特徴は、皮膚を切開せずに治療を行う点です。お腹を切らないため、手術と比べて入院期間や社会復帰までの期間を短くできる可能性があります。
特に、仕事を長く休めない方、育児や介護で長期入院が難しい方、子宮を残したい方にとって、HIFUは一度検討する価値のある治療です。
BJOG掲載の2,411人研究で示されたHIFUの成績
HIFUについては、産婦人科領域の国際医学誌BJOGに、2,411人を対象とした大規模研究が報告されています。
この研究では、症状のある子宮筋腫の患者さんが、HIFU、子宮筋腫核出術、子宮全摘術のいずれかを受け、その後の経過が比較されました。
対象となった患者さんは、HIFU 1,353人、子宮筋腫核出術586人、子宮全摘術472人でした。
この研究で印象的なのは、HIFUでは手術と比べて、短期的な体への負担が少ない結果が示されたことです。
主要な有害事象はHIFUで少なかった
研究では、主要な有害事象はHIFU群で0.2%、手術群で12.6%でした。
HIFU群で報告された主要な有害事象は皮膚の熱傷でした。一方、手術群では、術中出血、輸血、感染、血栓症、膀胱損傷などが含まれていました。
子宮筋腫で手術したくない方が不安に思うのは、手術そのものだけではありません。麻酔、出血、感染、術後の痛み、入院、仕事復帰までの期間。こうした現実的な負担があるからこそ、子宮筋腫の手術以外の治療を探されるのだと思います。
HIFUは、そうした方にとって有力な選択肢のひとつです。
社会復帰までの期間が短かった
この研究では、平均入院期間はHIFU 3.6日、子宮筋腫核出術9.0日、子宮全摘術10.5日と報告されています。
さらに、通常生活や仕事に戻るまでの平均日数は、HIFU 4.1日、子宮筋腫核出術24.0日、子宮全摘術29.5日でした。
これは、日常生活を止められない女性にとって大きな意味を持ちます。
- 「手術を受けると、仕事をどれくらい休む必要があるのか」
- 「家事や育児を何週間も止められない」
- 「入院や長期療養は難しい」
このような事情がある方にとって、子宮筋腫のお腹を切らない治療であるHIFUは、検討しやすい治療です。
当会では、筋腫の大きさや位置、全身状態などの条件が合えば、日帰り治療として実施しています。
子宮筋腫で入院したくない・仕事を長く休めない方へ
子宮筋腫の手術を迷う理由として多いのが、「入院したくない」「仕事を長く休めない」という現実的な問題です。
手術の場合、治療内容によっては入院や術後の安静期間が必要になります。実際に、子宮筋腫の手術後に何日休む必要があるのかを心配して検索される方も少なくありません。
HIFUは、体外から超音波を集束して筋腫を治療するため、お腹を切らずに治療できる可能性があります。筋腫の大きさや位置、全身状態などの条件が合えば、日帰り治療として計画できる場合もあります。
長期入院が難しい方、仕事復帰をできるだけ早くしたい方にとって、HIFUは一度適応を確認する価値のある治療です。
子宮筋腫の手術以外の選択肢
子宮筋腫の治療は、一人ひとりの状態によって変わります。筋腫の大きさ、場所、数、症状、年齢、妊娠希望の有無によって、適した治療は異なります。
| 治療法 | お腹を切るか | 子宮温存 | 入院・回復 | 向いている方 |
|---|---|---|---|---|
| 薬物療法 | 切らない | 可能 | 通院中心 | 閉経が近い方、手術前準備 |
| 子宮筋腫核出術 | 切る場合あり | 可能 | 入院が必要 | 妊娠希望、筋腫を摘出したい方 |
| 子宮全摘術 | 切る場合あり | 不可 | 入院が必要 | 再発を避けたい方 |
| UAE | お腹は切らない | 可能 | 数日入院が多い | 手術以外を希望する方 |
| HIFU | お腹は切らない | 可能 | 条件により日帰り可 | 手術したくない方、早期復帰を希望する方 |

薬物療法
ホルモン製剤などを使い、月経量を減らしたり、筋腫を一時的に小さくしたりする治療です。手術前の準備や、閉経までの時間を稼ぐ目的で使われることがあります。
子宮筋腫核出術
筋腫だけを取り除き、子宮を残す手術です。妊娠希望がある方では重要な選択肢です。
子宮全摘術
子宮を取り除く手術です。筋腫の再発がないという利点がありますが、子宮を失うことになります。全摘したくない方にとっては、心理的な負担が大きい治療です。
UAE(子宮動脈塞栓術)
カテーテルを使い、筋腫への血流を減らして筋腫を縮小させる治療です。子宮筋腫の手術以外の選択肢のひとつです。
HIFU
HIFUは、体外から超音波を集束して子宮筋腫を治療する方法です。お腹を切らない、子宮を残す、早期回復を目指すという点で、子宮筋腫の手術以外の選択肢として注目されています。
HIFUが選択肢になりやすい方
次のような方は、HIFUの適応を確認する価値があります。
- 子宮筋腫で手術したくない方
- 子宮筋腫で全摘したくない方
- 子宮を残したい方
- 手術以外の治療を探している方
- お腹を切らない治療を希望する方
- 日帰り治療が可能か知りたい方
HIFUが可能かどうかは、MRI画像で判断します。筋腫の大きさ、位置、数、腸管との距離、MRIでの性状などを確認したうえで、適応を決めます。
HIFUを考えるときに大切なこと
HIFUは、子宮筋腫のお腹を切らない治療です。しかし、すべての子宮筋腫に向いているわけではありません。筋腫の位置によっては超音波が届きにくいことがあります。腸管が照射経路にある場合、安全に治療できないことがあります。筋腫の種類によっては、他の治療法の方が適していることもあります。
また、HIFUは筋腫を体外に取り出す治療ではありません。治療の目的は、筋腫を焼灼して縮小させ、症状の改善を目指すことです。
そのため、HIFUを希望される場合には、まずMRI画像をもとに適応を確認することが重要です。

よくある質問
子宮筋腫で手術したくない場合、HIFUは受けられますか?
HIFUを受けられるかどうかは、筋腫の状態によります。筋腫の大きさ、場所、数、MRIでの性状、腸管との位置関係などを確認して判断します。
子宮筋腫で全摘したくない場合、HIFUは選択肢になりますか?
選択肢になる場合があります。ただし、すべての方に適応できるわけではありません。子宮筋腫核出術、子宮動脈塞栓術、薬物療法などと比較して判断します。
子宮筋腫で子宮を残したい場合、HIFUは向いていますか?
子宮を残したい方にとって、HIFUは検討できる治療です。特に、お腹を切らない治療を希望する方、手術に抵抗がある方では、適応の有無を確認する価値があります。
HIFUは子宮筋腫の切らない治療ですか?
HIFUは体外から超音波を集束して治療するため、子宮筋腫の切らない治療、お腹を切らない治療として説明されます。
子宮筋腫は日帰り治療できますか?
筋腫の大きさや位置、患者さんの全身状態によっては、HIFUを日帰り治療として計画できる場合があります。ただし、すべての方が日帰り治療の対象になるわけではありません。MRI画像を確認したうえで判断します。
子宮筋腫の手術後は何日休む必要がありますか?
手術の種類や筋腫の状態によって異なりますが、子宮筋腫核出術や子宮全摘術では、入院期間に加えて術後の回復期間が必要になることがあります。HIFUでは、筋腫の大きさや位置などの条件が合えば、より早い社会復帰を目指せる場合があります。
子宮筋腫HIFUの適応はMRIで分かりますか?
HIFUが可能かどうかは、MRI画像でかなり重要な情報が得られます。筋腫の大きさ、位置、数、MRIでの性状、腸管との距離などを確認し、安全に超音波を照射できるかを判断します。
子宮筋腫の手術以外には、どのような治療がありますか?
薬物療法、子宮動脈塞栓術、HIFU、経過観察などがあります。筋腫の状態や症状、妊娠希望の有無によって適した治療は異なります。
MRI画像をお持ちの方は、HIFUの適応があるか確認できます。治療を迷っている方はご相談ください。
まとめ|子宮筋腫で手術を迷っている方へ
子宮筋腫で手術を勧められても、すぐに決断できない方は少なくありません。
- 「手術はできれば避けたい」
- 「全摘には抵抗がある」
- 「子宮を残したい」
- 「お腹を切らない治療を知りたい」
そのように感じる方にとって、HIFUは手術以外の選択肢のひとつです。
海外の大規模研究では、HIFUは手術と比べて主要な有害事象が少なく、入院期間や通常生活への復帰までの期間が短いという結果が示されています。
ただし、すべての子宮筋腫がHIFUに適しているわけではありません。まずはMRI画像をもとに、HIFUの適応があるかを確認することが大切です。
手術を迷っている方、全摘に抵抗がある方、子宮を残したい方は、ひとりで悩まず婦人科HIFU研究会にご相談ください。子宮筋腫の治療は、手術か我慢かの二択ではありません。
参考文献
Chen, J., Li, Y., Wang, Z., McCulloch, P., Hu, L., Chen, W., Liu, G., Li, J., Lang, J., & Committee of the Clinical Trial of HIFU versus Surgical Treatment for Fibroids. (2018). Evaluation of high-intensity focused ultrasound ablation for uterine fibroids: An IDEAL prospective exploration study. BJOG: An International Journal of Obstetrics & Gynaecology, 125(3), 354–364.(PMID: 28421665) https://doi.org/10.1111/1471-0528.14689