子宮筋腫・腺筋症の
HIFU治療を専門医が解説
子宮筋腫・腺筋症のHIFU治療を専門医が解説

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子宮の病気(子宮筋腫・子宮腺筋症・子宮内膜症)  堤 治 

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子宮の病気のお話をしましょう。まず子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症というとみな子宮という言葉がつくので女性の病気だとわかりますね。でも具体的には女性でもあまり知らない方が多いのです。「子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症この中でどれが子宮の病気でしょう」とお聞きすると、「ええ!?皆子宮の病気ではないのですか。」と答える方が少なくありません。 

図1に子宮と名のつく女性の病気を三つあげました。子宮は筋肉でできた袋ということができます。子宮筋腫はその子宮の筋肉がこぶ(腫瘍)をつくって発育するものです。ある報告では女性の60%にあるといわれるほど多くの女性にできます1)。症状としては、過多月経といって月経量が多くなり貧血になることがあります2)。月経困難症といって生理痛が辛く鎮痛剤が必要なこともあります。 

子宮腺筋症は子宮の壁(筋肉)の中に子宮内膜組織が増殖する病気です3)。子宮内膜といってもピンとこないかもしれません。子宮の内側を覆い、受精卵が着床して育つ組織です。月経の時には剥がれ落ち月経痛の原因といえます。その子宮内膜が子宮の壁の中で育ち痛みの物質をだすので大変です。痛みの病気とも言われますが、不妊症の原因にもなります4)。 

子宮内膜症は今お話した子宮内膜が子宮の外側、主として骨盤の中、例えば卵巣などで増殖します。月経の時痛みの物質をだしますが、女性ホルモンが増える排卵の頃にも痛くなることもあります。不妊の原因になります4)。子宮内膜症は子宮がつきますが、子宮外の病気だということも覚えておいて下さい。 

子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症という病気の共通点はエストロゲン依存性疾患といって女性ホルモンの影響ででき、症状も似通っている上に、合併することも多いのです。子宮筋腫と子宮腺筋症、子宮筋腫と子宮内膜症という具合で、図1の真ん中のように子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症が同時にできることもあります5)。 

子宮筋腫はできる場所によって対応が変わります。図2のAのように外に発育している漿膜下筋腫はかなり大きくても症状もなく、手術のする必要がない場合が多いです。Bの筋層内筋腫といって子宮の筋層の中にできるものは、大きくなると子宮内膜に影響し、月経量が増えたり、不妊の原因になり、手術で取り出します。この場合は開腹で行われる場合と腹腔鏡を使用する場合があります6)。Cの子宮内腔にできる粘膜下筋腫は腟の方から子宮鏡を内腔に挿入して筋腫だけを取り出します。 

子宮腺筋症は先にもお話したように、子宮内膜組織が図3のように、子宮の内側、外側あるいは中で増殖する病気です7)。内膜がじわじわ食い込んで育っていくので、子宮腺筋症は筋腫がこぶでくり抜くことが容易なのにくらべて手術が困難です。昔の教科書では子宮全摘手術が行われるとされていましたが、子どもの欲しいひとには適用できません。 

子宮内膜症についても説明しておきましょう。図4を見てください。子宮内膜は月経の時に剥がれて出血と一緒に腟から排出されますが、時に逆流しお腹の中(腹腔内)に漂着します8)。そこで育って出血が溜まったものがチョコレート嚢胞です。初めは点のような病巣が見られるI期から時間がたって発育するとチョコレート嚢胞が周囲と癒着したIV期までに進行期が分類されます。 

 治療についておおよその流れを説明します。生理痛などの痛みが強い場合、第一選択は鎮痛剤です。痛みを我慢することは生活の質を下げるので早めに服用を勧めます。月経量が多く貧血になっていれば鉄剤で治療します。鎮痛剤でコントロールできない場合、第二選択としてホルモン療法をおこないます9)。ホルモンにもいくつか種類があり、低用量ピル、黄体ホルモン剤、GnRH類(偽閉経療法)などの中から適したものを選びます。第三の選択肢は手術療法になります。昔は開腹によって子宮全摘術がよく行われていましたが、近年は病巣だけを腹腔鏡を使って切除する方法が主になっています。目を世界に向けるとメスを使用しないで超音波で治す方法(HIFU)が広まりつつあります。お腹を切りたくない方、体への負担をできるだけ少なく治したい方、仕事をお休みできない方には朗報と言えるでしょう。 

最後に3つの疾患の比較表を作りましたので、掲載いたします。 

子宮筋腫・子宮腺筋症・子宮内膜症比較表 

子宮筋腫 子宮腺筋症 子宮内膜症 
好発年齢 20~40代 30~40代 20~40代 
できる場所 子宮の内部子宮の筋層内 子宮の外 
特徴 こぶのような筋肉の塊。徐々に大きくなったり、多発することもある。 子宮内膜組織が子宮筋層にでき、子宮が肥大する。痛みの物質が出るので、痛い 子宮の外にできる。卵巣にできるとチョコレート嚢胞と呼ぶ 
主な症状 過多月経 
月経痛・腰痛 
貧血 
不妊症 
下腹部にしこりをふれることもある。 
過多月経 
重い月経痛・腰痛 
貧血 
不妊症 
重い月経痛・腰痛 
不妊症 
薬物療法 鎮痛剤・鉄剤 
ホルモン療法 
低濃度ピル 
黄体ホルモン療法 
偽閉経療法 
鎮痛剤・鉄剤 
ホルモン療法 
低濃度ピル   
黄体ホルモン療法 
偽閉経療法 
鎮痛剤 
ホルモン療法 
低濃度ピル 
黄体ホルモン療法 
偽閉経療法 
手術療法 子宮全摘 
筋腫核出術 
正常組織と筋腫の境目がはっきりしているので、筋腫だけ核出できることが多い 
子宮全摘 
病巣の境目が不明瞭なので、病巣の摘出が難しい場合が多い 
内膜症が卵巣にできるチョコレート嚢胞が大きい場合、摘出する場合が多い 
HIFU療法 手術と同等の成績が出ている。身体への負担は少ない。 手術と同等の成績が出ている。身体への負担は少ない。 今のところ適応なし 

この表のように、3つの疾患の症状は似ていますが、治療方法が異なる点があります。ご自分がどの疾患であるかを、超音波検査やMRIで把握する必要があります。ぜひ早めに産婦人科を受診して、検査をお受けください。 

  1. Silvia Vannuccini, Felice Petraglia, Francisco Carmona, Joaquim Calaf, Charles Chapron. (2024). The modern management of uterine fibroids-related abnormal uterine bleeding. Fertility and Sterility, 122(1), 20–30. https://doi.org/10.1016/j.fertnstert.2024.04.041 
  1. Edgardo Somigliana, Marco Reschini, Valentina Bonanni, Andrea Busnelli, Letizia Li Piani, Paolo Vercellini. (2021). Fibroids and natural fertility: A systematic review and meta-analysis. Reproductive BioMedicine Online, 43(1), 100–110. https://doi.org/10.1016/j.rbmo.2021.03.013
  1. Gaby Moawad, Arrigo Fruscalzo, Youssef Youssef, Mira Kheil, Tala Tawil, Jimmy Nehme, Paul Pirtea, Benedetta Guani, Huda Afaneh, Jean Marc Ayoubi, & Anis Feki. (2023). Adenomyosis: An updated review on diagnosis and classification. Journal of Clinical Medicine, 12(14), 4828. https://doi.org/10.3390/jcm12144828
  1. 日本生殖医学会:CQ5 子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症がART治療成績に影響するか? 生殖医療ガイドライン2025 17-19, 2025 
  1. 堤治:子宮と名のつく病気 Dr堤と学ぶ初めての不妊治療 ロギカ書房 p.126,2025 
  1. 堤治:子宮筋腫核出術①-LM, 子宮筋腫核出術②-LAM 入門腹腔鏡手術 p55-60, p61-68.診断と治療社 2010 
  1. 日本産科婦人科学会:CQ217子宮腺筋症の診断と治療は? 産婦人科ガイドライン2023-婦人科外来編2023 74-75,202 
  1. 堤治:子宮内膜症 女性の病気と腹腔鏡 p40-50,かまくら春秋社 2008 
  1. Tasuku Harada, Fuminori Taniguchi, Sun-Wei Guo, Young Min Choi, Kutay Omer Biberoglu, Shaw-Jenq Sean Tsai, Saeed Alborzi, Moamar Al-Jefout, Amphan Chalermchokcharoenkit, Angela G Sison-Aguilar, Yoke-Fai Fong, Hemantha Senanayake, Alexander Popov, Andon Hestiantoro, & Yuval Kaufman. (2023). The Asian Society of Endometriosis and Adenomyosis guidelines for managing adenomyosis. Reproductive Medicine and Biology, 22(1), e12535. https://doi.org/10.1002/rmb2.12535