更年期における子宮筋腫の症状と注意点!受診が望ましいケースも紹介
「更年期に入ってから症状が変わった気がするけれど、子宮筋腫のせいなのか、更年期のせいなのか判断できない」と戸惑っている方も多いのではないでしょうか。
更年期は、ホルモン環境が大きく変化する時期であり、もともと子宮筋腫がある方にとっては症状の現れ方が変化したり、新たな不調が加わったりすることがあります。
更年期特有の症状と子宮筋腫による症状を混同したまま放置することは、本来必要な対処が遅れるリスクにつながることがあるため、正しい知識を持つことが重要です。
この記事では、更年期と子宮筋腫の関係や症状の変化、閉経後に注意すべき出血の原因、受診が望ましいケースをわかりやすく解説します。
子宮筋腫の基礎知識

子宮筋腫は、子宮の筋層を構成する平滑筋細胞が増殖することで形成される良性腫瘍であり、成人女性に比較的多くみられる疾患の一つです。
筋腫の発生部位によって、以下の3種類に分類されます。
- 筋層内筋腫:子宮の筋肉の層(筋層)の中にできる一般的なタイプ
- 粘膜下筋腫:子宮内膜のすぐ下にでき、子宮の内側へ突出するタイプ
- 漿膜下筋腫:子宮の外側を覆う漿膜に向かって外側へ突出するタイプ
症状の現れ方は、筋腫の種類・大きさ・位置によって大きく異なり、まったく自覚症状がないまま検診で初めて発見されるケースも少なくありません。
月経痛の悪化・過多月経・下腹部の圧迫感などが代表的な症状ですが、更年期においては、これらの症状が変化したり複雑化したりすることがあります。
症状の変化を見逃さないためにも、定期的に医療機関で検査や経過観察を受け、ご自身の状態を継続的に確認していくことが大切です。
更年期と子宮筋腫の関係

更年期とは、閉経の前後約5年ずつを合わせた約10年間を指し、卵巣機能の低下によって、エストロゲンの分泌量が急激に変動・低下する時期です。
子宮筋腫はエストロゲンの影響を受けて発育するため、更年期に入ってエストロゲンが低下し始めると、筋腫が縮小に向かうケースが多くなります。
一方で、更年期のホルモン変動が不規則な時期には、一時的に出血量が増えたり、筋腫の症状が強まったりすることがある点も知っておく必要があります。
更年期症状(ほてり・発汗・気分の変動など)と子宮筋腫による症状が重なり合うことで、どちらの影響かを自己判断することが難しくなるため、専門医による評価が重要な時期といえるでしょう。
更年期における子宮筋腫の症状

更年期はホルモン環境が不安定になるため、子宮筋腫の症状が従来と異なる形で現れることがあります。
ここでは、更年期にとくに注意が必要な子宮筋腫の症状を解説します。
月経リズムと出血パターンの変化
更年期に入ると、月経周期が不規則になりやすく、子宮筋腫がある場合は出血量の変化がさらに顕著になることがあります。
もともと過多月経があった方は、更年期のホルモン変動によって出血が一時的に増加し、貧血が悪化するケースも見受けられます。
逆に筋腫があっても更年期の影響で月経量が減少に転じるケースもあり、変化の現れ方は個人差が大きいです。
月経の量・周期・期間のいずれかに急な変化があった場合は、更年期の自然な変化と決めつけず婦人科で確認することが大切でしょう。
月経以外での不正出血
更年期には、月経以外のタイミングで出血が生じる不正出血が起こりやすくなりますが、子宮筋腫がある場合はその原因の鑑別がより重要になります。
粘膜下筋腫では、子宮内膜が刺激されやすく、月経とは無関係なタイミングで出血が生じることがあります。
更年期の不正出血は、子宮筋腫以外の疾患特に子宮がんが原因となっている場合もあるため、「更年期だから」と自己判断せず医療機関での原因特定が不可欠です。
出血の量・色・持続期間を記録しておくと、受診時に医師へより正確な情報を伝えることができます。
骨盤の重だるさと慢性的な下腹部痛
更年期のホルモン変動は自律神経にも影響するため、もともとあった骨盤周囲の痛みや重だるさが更年期症状と混在して感じられるケースがあります。
子宮筋腫による骨盤内の圧迫感は、更年期に伴う腰痛や関節の不調と重なることで症状が複雑化し、原因の特定が難しくなることがあります。
下腹部や骨盤周囲の慢性的な不快感が続く場合は、整形外科や内科だけでなく婦人科の受診で原因を特定することが望ましいです。
痛みが「月経周期と連動しているかどうか」を記録しておくと、鑑別の手助けになります。
頻尿・排尿トラブルの増加
更年期には骨盤底筋の機能が低下しやすく、筋腫による膀胱圧迫がある方は、頻尿や排尿のしにくさがより顕著になることがあります。
「以前よりトイレの回数が増えた」「夜間に何度も目が覚めるようになった」という変化は、筋腫と更年期の両方が関与している可能性があります。
排尿に関する症状は、生活の質に直結するため、我慢せず早めに婦人科や泌尿器科に相談することが重要です。
更年期以降に変化する子宮筋腫の症状

閉経を迎えてエストロゲンの分泌が低下すると、子宮筋腫の症状は多くの場合で変化していきます。
ここでは、閉経後に筋腫がどのように変化するか、また注意が必要な状態を解説します。
筋腫の縮小と症状の変化
閉経後にエストロゲン分泌が低下すると、筋腫への増殖促進刺激がなくなるため、多くのケースで筋腫は徐々に縮小に向かいます。
これまであった月経痛や過多月経などの症状が、自然と軽減・消失する方も多く、「閉経後に症状が軽くなった」と感じる方もいます。
ただし、縮小のスピードや程度は筋腫の大きさ・種類・個人のホルモン環境によって異なるため、閉経後も定期的な画像検査による確認が重要です。
症状が改善したからといって自己判断で受診をやめると、他の疾患の見落としにつながる可能性があるため注意してください。
筋腫が残存・増大するケース
閉経後も筋腫が縮小せず残存するケースがあり、一定の大きさを保ったまま残存するケースがあります。
また、閉経後にホルモン補充療法(HRT)を行う場合、外部からエストロゲンが補充されることで筋腫が再び増大することがあるため、筋腫がある方がHRTを検討する際は婦人科医と十分に話し合うことが大切です。
閉経後に筋腫が縮小せず、むしろ増大傾向にある場合は、子宮がんや子宮肉腫など悪性腫瘍との鑑別が必要になることがあるため速やかに専門医を受診しましょう。
閉経後の筋腫の変化を定期的にモニタリングすることが、異常の早期察知につながります。
閉経後の圧迫症状の継続
閉経後も大きな筋腫が残存している場合、膀胱・直腸・血管への圧迫による頻尿・便秘・下肢のむくみなどが継続することがあります。
月経に関連した症状は消失しても、圧迫に由来する症状は筋腫が縮小するまで続くことがあるため、閉経後も体の変化を丁寧に観察することが大切です。
これらの症状を「年齢的な変化」と片づけてしまうと、筋腫が原因であることに気づくのが遅れることがあります。
閉経後、新たに圧迫感や排泄の不具合が現れた場合は、筋腫の状態変化の可能性も含めて婦人科で評価を受けることが望ましいです。
閉経後の不正出血に潜む主な疾患

閉経後の不正出血は、「更年期の名残」として見過ごしてよいものではなく、その背景には婦人科的な疾患が潜んでいる可能性があります。
ここでは、閉経後の不正出血の原因として考えられる主な疾患を解説します。
良性疾患(子宮筋腫など)
閉経後の不正出血の原因として、以下のような良性疾患が考えられます。
- 子宮筋腫(とくに粘膜下筋腫)
- 子宮内膜ポリープ
- 子宮頸管ポリープ
- 萎縮性腟炎(閉経後のエストロゲン低下による腟粘膜の萎縮)
良性疾患が原因であっても、出血が繰り返される場合や量が多い場合は適切な対処が必要となります。
とくに粘膜下筋腫は、閉経後も出血の原因となることがあり、筋腫の存在が確認されている方は症状の変化を見逃さないことが重要です。
悪性疾患(子宮体がんなど)
閉経後の不正出血は、以下のような悪性疾患のサインである場合があります。
- 子宮体がん(子宮内膜がん)
- 子宮頸がん
- 子宮肉腫
- 腟がん
- 卵巣がん(出血を伴うケースでまれ)
閉経後の不正出血のうち、一定の割合で悪性疾患が見つかることが知られており、出血の量が少なくても自己判断で放置することは危険です。
早期発見が治療の選択肢と予後を大きく左右するため、閉経後に一度でも出血があった場合は速やかに婦人科を受診しましょう。
その他の疾患
婦人科疾患以外にも、以下のような原因が閉経後の出血に関与することがあります。
- 抗凝固薬など薬の副作用による出血傾向
- 直腸・肛門疾患(痔・直腸ポリープなど)による出血との混同
- 尿道・膀胱由来の出血との混同
出血の発生源が婦人科的なものかどうかを正確に判断するためには、専門医による診察が不可欠です。
「どこから出血しているかわからない」という場合も、まず婦人科で全体的な評価を受けることが状況の整理につながるでしょう。
子宮筋腫の症状で受診が望ましいケース

更年期・閉経後は体の変化が多く、どのタイミングで受診すべきか判断に迷うことがあるかもしれません。
しかし、一定の症状やサインが見られる場合は、自己判断せずに早めに婦人科を受診することが重要です。
ここからは、受診が望ましいケースを具体的に紹介します。
閉経後に出血が生じた場合
閉経後の出血は、たとえ少量であっても必ず婦人科で原因を確認することが重要です。
閉経後は本来出血が起こらないため、どのような形の出血も「異常なサイン」として受け止めるべきです。
良性疾患である可能性も十分ありますが、子宮体がんをはじめとする悪性疾患が潜んでいる場合もあるため、速やかな受診と検査が必要です。おどすようですが、「閉経後の出血はがんだと思って、検査してがんでないとわかるまで安心しないでください」
「少量だから大丈夫」「一度きりだから様子を見よう」という判断が、早期発見の機会を逃すことにつながりかねません。
貧血症状が続いている場合
更年期に入ってからも過多月経が続き、疲れやすさ・めまい・動悸・息切れといった貧血症状が慢性化している場合は、筋腫への対処を含めた治療方針の見直しが必要です。
鉄剤の補充だけでは根本解決にならないケースもあり、出血量を減らすための婦人科的なアプローチを検討することが生活の質の改善につながります。
更年期の倦怠感と貧血症状は混同されやすいため、血液検査でヘモグロビン値を確認することが現状把握の第一歩です。
貧血が進行したまま放置すると全身への影響が広がるため、症状が続く場合は早めに受診することが大切です。
筋腫が急速に増大している場合
定期検査のたびに筋腫が明らかに大きくなっている場合、または短期間で腹部の膨らみや圧迫症状が強くなった場合は、速やかな専門医への相談が必要です。
閉経前後にもかかわらず筋腫が縮小せず増大傾向にある場合は、悪性腫瘍との鑑別を含めた精密検査の対象となります。
急速な増大は、通常の筋腫の経過とは異なるサインであるため、「様子を見ればいいか」と判断せず、MRI検査などによる詳細な評価を受けましょう。
定期的な画像検査を継続しているからこそ、変化にいち早く気づけることがあるため、受診を中断しないことが重要な自衛策です。
ホルモン補充療法(HRT)を検討している場合
更年期症状の緩和を目的としてHRTを検討している方で、子宮筋腫が確認されている場合は、開始前に必ず婦人科医と筋腫の状態を共有することが必要です。
なぜなら、HRTによって外部からエストロゲンが補充されると、縮小しかけていた筋腫が再び活性化し増大するリスクがあるからです。
HRTの種類・投与量・投与経路によってリスクの程度が異なるため、筋腫の大きさや位置を踏まえたうえで、適切な方法を専門医と慎重に検討しましょう。
HRTを継続する際にも、更年期症状だけでなく子宮筋腫の変化も定期的に確認しながら、自分に合った治療方法を医師と一緒に選んでいくことが大切です。
まとめ
更年期における子宮筋腫は、ホルモン環境の変化によって症状の出方が変わりやすくなります。
更年期でよくみられる症状との見極めが難しいケースが多く、専門医による定期的な診断を受けることが重要となります。
閉経後の不正出血や筋腫の急速な変化は放置せず、早めに婦人科を受診することが疾患の早期発見と適切な対処につなげるポイントです。
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