子宮筋腫の手術を徹底解説!術式ごとのメリット・デメリットや流れを紹介
子宮筋腫と診断され、「このまま様子をみてよいのか」「手術が必要なのか」と不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
実際に、月経量の増加や強い生理痛、貧血、将来の妊娠・出産への影響など、日常生活とライフプランの両面で悩まれるケースが少なくありません。
子宮筋腫の手術では、症状や年齢、妊娠希望の有無によって適した方法が異なり、術後の生活にも関わるため、あらかじめ特徴を理解しておくことが役立ちます。
この記事では、子宮筋腫の手術が検討されるケースや主な手術方法、手術前の検査から準備、手術の流れまでをわかりやすく紹介します。
子宮筋腫の特徴

子宮筋腫は、子宮の筋肉の層に生じる良性の腫瘍であり、成人女性では比較的よくみられる疾患です。
筋腫の大きさやできる位置によって、月経量の増加、強い生理痛、下腹部の張り、頻尿や便通の変化など、現れ方には幅があります。
一方で、はっきりした自覚症状がほとんどないまま、健康診断や婦人科検診の超音波検査で偶然見つかることも珍しくありません。
良性腫瘍であるとはいえ、貧血や生活の質、妊娠・出産への影響に関わる場合があるため、症状やライフステージに応じた管理や治療を検討していく病気といえます。
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子宮筋腫で手術が検討されるケース

子宮筋腫の手術は、月経量の増加や貧血、強い痛み、圧迫症状、妊娠への影響などにより、日常生活や将来のライフプランへの負担が大きくなった場合などに検討されます。
ここでは、その具体的なケースを紹介します。
症状が日常生活に影響している場合
月経量が非常に多い、レバー状の出血が続く、強い生理痛で仕事や家事がこなせないといった状況では、手術による治療が検討されることがあります。
過多月経に伴う貧血で、易疲労感や動悸、息切れが続く場合も、薬物療法だけでは十分な改善が得られず、外科的治療を視野に入れなければなりません。
日常生活への支障が大きい場合には、症状の程度や筋腫の状態を踏まえ、手術を含めた治療選択肢が話し合われることが多いです。
筋腫が大きい・増大傾向がある場合
子宮全体が妊娠中期のような大きさになるほど筋腫が大きい場合や、短期間で急速に増大している場合は、手術治療が候補にあがります。
大きな筋腫は、膀胱や直腸を圧迫して頻尿や便秘、下腹部の圧迫感などを引き起こすことがあり、将来的な症状悪化も考慮して方針が検討されます。
画像検査で経過を追いながら、体調や年齢も含めて、いつ外科的治療に踏み切るかが主治医との話し合いのテーマとなるでしょう。
妊娠・出産への影響が懸念される場合
子宮の内側(粘膜側)に近い筋腫や、子宮腔を大きく変形させる筋腫は、着床のしづらさや流産・早産のリスクに関わることがあります。
妊娠を希望している方や不妊治療を検討している方は、筋腫を残したままにするメリット・デメリットと、手術によって改善が期待できる点を整理しておくことが重要です。
妊娠時期との兼ね合いも含め、いつどの術式を選択するかは専門医と相談しながら決めていく流れが一般的です。
薬物療法や経過観察で改善が乏しい場合
ホルモン剤などの薬物療法や、鉄剤による貧血治療を行っても症状の軽減が不十分なケースでは、次の選択肢として手術があがることがあります。
とくに長期間にわたる強い症状や、繰り返す貧血が続く場合、生活の質や将来の健康への影響も考慮しながら、外科的治療への切り替えが検討されます。
手術以外の方法でどこまで対応できそうか、現状と今後の見通しを含めて主治医と共有することが、治療方針を選ぶ重要なステップです。
子宮筋腫の主な手術方法

子宮筋腫の手術には、子宮を残して筋腫だけを取り除く方法と、子宮そのものを摘出する方法があります。
それぞれに特徴や向いているケースが異なるため、ここでわかりやすく解説します。
子宮筋腫核出術(子宮を残す手術)
子宮筋腫核出術は、子宮は温存しつつ、筋腫のみを切除する手術で、妊娠を希望される方などで選択されることが多い方法です。
開腹手術、腹腔鏡手術、子宮鏡下手術など、筋腫の位置や数、大きさによって具体的な術式が変わることがあります。
筋腫を取り除くことで症状の軽減が期待されますが、子宮自体は残るため、将来的に新たな筋腫が生じる可能性についても事前に説明を受けることになります。
メリット
子宮を温存できるため、将来の妊娠・出産の可能性を残しつつ症状改善を目指せる点がメリットです。
また、子宮全摘術に比べて心理的な負担が少ないと感じる方も多く、自身のライフプランに合わせた選択がしやすい面があります。
デメリット
子宮が残るため、時間の経過とともに新たな筋腫が発生したり、残存筋腫が大きくなる可能性があります。
手術の内容によっては、術後の子宮の状態から将来の妊娠や分娩方法(帝王切開など)に制限が生じる場合がある点にも配慮が必要です。
子宮全摘術(子宮を摘出する手術)
子宮全摘術は、子宮をまるごと摘出する手術で、筋腫が非常に大きい場合や数が多い場合、閉経に近い年齢の方などで選択されるケースがみられます。
月経は完全になくなり、筋腫による出血や痛みの再発が基本的に起こらない点が、この術式ならではの特徴です。
一方で、子宮がなくなることによる心理的な影響や、妊娠の可能性が完全になくなる点について、事前に十分な説明と理解が必要になります。
メリット
子宮そのものを摘出するため、子宮筋腫が再度出現する心配がほぼなくなり、過多月経や月経痛から解放されることが期待されます。
筋腫が多発している場合や大きな筋腫が複数ある場合でも、一度の手術で対応できることが多い点も利点です。
デメリット
子宮がなくなることで妊娠することはできなくなり、将来の妊娠を希望される方には選択できない術式となります。
また、身体面だけでなく心の面への影響もあり得るため、手術前に不安や疑問を含めて主治医とよく話し合うことが勧められます。
開腹手術・腹腔鏡手術・子宮鏡下手術の違い

子宮筋腫の手術では、開腹手術・腹腔鏡手術・子宮鏡下手術などのアプローチによって、体への負担や回復までの経過が変わります。
ここでは、それぞれのアプローチによる違いを解説します。
開腹手術の特徴
開腹手術は、お腹を数センチ以上切開しておこなう方法で、術中の視野が広く、手で直接確認しながら操作できる点が特徴です。
筋腫が非常に大きい場合や数が多い場合、癒着が強く予想される場合など、より確実な操作が求められるケースで選択されることがあります。
一方で、傷が比較的大きくなるため、痛みや回復にやや時間を要し、入院期間も腹腔鏡手術などに比べて長くなる傾向があります。
腹腔鏡手術の特徴
腹腔鏡手術は、お腹に小さな孔を数カ所あけ、カメラと細い器具を挿入しておこなう、いわゆる低侵襲手術の一つです。
傷が小さいことから、術後の痛みが比較的少なく、入院期間や社会復帰までの期間が短くなる可能性があります。
ただし、筋腫の大きさや数、子宮の形、既往歴などによっては適応が限られることがあり、事前の検査と専門医による評価が欠かせません。
子宮鏡下手術の特徴
子宮鏡下手術は、腟から子宮の中に細い内視鏡を挿入し、子宮内腔に突出している筋腫(粘膜下筋腫など)を内側から切除する方法です。
お腹を切開せずに子宮の内側のみを操作するため、体表に傷が残らず、適応となる症例では身体的負担を抑えた治療が期待できます。
一方で、子宮の外側に広がる筋層内の筋腫や、子宮の外側に張り出した筋腫には適応にならないことが多く、画像検査で位置や形を正確に評価したうえで術式が選択されます。
手術とお腹を切らないHIFU治療を比較

子宮筋腫の治療では、お腹を切らないHIFU治療という選択肢もあります。
HIFU治療とは、高密度の超音波を体の外から子宮筋腫に集中的に当て、その熱で筋腫組織を変性させて縮小をめざす治療法です。
ここでは、手術とHIFU治療の違いをわかりやすく解説します。
治療の目的とアプローチの違い
子宮筋腫の手術は、筋腫そのもの、あるいは子宮全体を直接切除することで、物理的に病変を取り除く治療です。
一方HIFU治療は、高密度の超音波を体の外から照射し、筋腫を内部から加熱・変性させて縮小をめざす方法で、皮膚を切開しない点が特徴になります。
どちらも症状の軽減を目的としますが、「切除して取り除く」のか「焼灼して縮小させる」のかというアプローチの違いにより、適応範囲や治療後の経過が異なります。
体への負担・入院期間の違い
開腹手術は傷が大きく、腹腔鏡手術や子宮鏡下手術は傷が小さいなど、術式によって身体への負担や回復までの期間が変わってきます。
一般的には、開腹手術は入院期間が長く、腹腔鏡手術や子宮鏡下手術では比較的短い入院や早めの社会復帰が期待されます。
HIFU治療はお腹を切らない低侵襲な方法に位置づけられ、施設や症例にもよりますが、入院期間が短い、あるいは日帰り〜短期入院で行われるケースもあります。
適応となる筋腫の条件の違い
手術治療は、筋腫の大きさや数に制限を受けにくく、非常に大きな筋腫や多数の筋腫にも対応しやすいという特徴があります。
一方HIFU治療は、筋腫の大きさ・位置・性状、子宮や周囲臓器との距離など、いくつかの条件を満たした症例が対象となるのが一般的です。
そのため、「子宮筋腫があるから誰でもHIFUが受けられる」というわけではなく、画像検査を踏まえた専門医の評価のもとで適応が判断されます。
再発・長期的な経過の違い
子宮全摘術では子宮自体を摘出するため、子宮筋腫の再発という概念は基本的にありません。
子宮筋腫核出術やHIFU治療では、子宮が残るため、時間の経過とともに新たな筋腫が生じたり、他の部位の筋腫が変化してくる可能性があります。
そのため、どの方法を選択する場合にも、治療後のフォローアップやライフステージの変化を見据えた長期的な計画が求められます。
子宮筋腫の検査から手術までの流れ

ここからは、子宮筋腫の手術を受けるまでの基本的な流れをわかりやすく解説します。
婦人科受診と初期評価(問診・内診・経腟超音波検査)
子宮筋腫が疑われる場合、婦人科で月経の状況や出血量、痛み、妊娠・出産歴、持病や内服薬などについて詳しく問診が行われます。
続いて、内診と経腟超音波検査で、子宮の大きさや形、筋腫の数・大きさ・位置を確認し、症状との関連や治療の必要性について、大まかな方向性が整理されます。
この段階の情報は、経過観察でよいか、薬物療法や手術・HIFUなどを候補に入れるかを検討するうえでの土台となるものです。
詳細検査による治療方針の検討(MRI検査など)
筋腫が多発している場合や大きさが一定以上の場合、または腹腔鏡手術やHIFUなどの選択肢を検討する際には、MRI検査が追加されることがあります。
MRIでは、筋腫と子宮筋層・子宮内腔・周囲臓器との位置関係や、筋腫の性状を立体的に把握することが可能です。
検査結果は、「どの術式が適しているか」「どの範囲を治療対象とするか」の検討に役立ちます。
超音波検査だけでは判断が難しい症例でも、MRIの情報を加えることで、安全性と治療効果のバランスを踏まえた計画を組み立てやすくなります。
全身状態のチェック(血液検査・心電図・胸部レントゲンなど)
手術が候補となった場合、過多月経による貧血の有無や程度を確認するため、ヘモグロビン値を含む血液検査が行われます。
あわせて、肝機能・腎機能・凝固能の検査や、心電図・胸部レントゲンなどで心臓や肺の状態を確認し、麻酔や手術に耐えられるかどうか全身状態を総合的に評価します。
高血圧や糖尿病、不整脈などがある場合には、必要に応じて内科などと連携し、術前にコントロールを整えたうえで手術日程や麻酔方法が調整される流れです。
手術方法の決定と事前説明
検査結果を踏まえ、子宮筋腫核出術にするか子宮全摘術にするか、開腹・腹腔鏡・子宮鏡下手術のいずれを用いるかなど、具体的な手術方法が検討されます。
年齢や症状、妊娠希望の有無、筋腫の大きさ・数・位置、HIFUなど他の選択肢との比較も含めて、複数の案を提示しながら主治医が方針を提案する流れが一般的です。
そのうえで、手術の目的や期待される効果、合併症のリスク、入院期間や術後の生活について説明を受け、内容に納得したうえで手術同意書に署名します。
入院前の準備と当日の流れ
手術日が決まったら、入院日程や持ち物、仕事・家事・育児の調整などについて具体的な案内があります。
術前には、内服薬の調整や、場合によっては貧血改善のための鉄剤投与などが行われ、当日は絶食時間の指示に従いながら入院・手術を迎える形です。
入院後は再度必要事項の確認を行い、麻酔科医から麻酔方法の説明を受けたのち、手術室へ移動し、術後は回復室や病棟で状態を確認しながら数日間の入院を経て退院となります。
まとめ
子宮筋腫の手術は、症状の程度や筋腫の大きさ・位置、年齢、妊娠希望の有無などを踏まえて、複数の選択肢から個別に検討されます。
手術だけでなく、お腹を切らないHIFU治療も含めて比較しながら、ご自身のライフプランと負担のバランスに合った治療方法を医師と相談していくことがポイントです。
「一般社団法人 婦人科HIFU研究会」では、お腹を切らない子宮筋腫治療であるHIFUについて、子宮筋腫手術との違いや適応条件も踏まえた専門的な診療と情報提供を行っています。
子宮筋腫の手術を提案されて迷っている方や、HIFUを含めて自分に合う治療方法を整理したい方は、ぜひこの機会に当院の診療予約やお問い合わせをご検討ください。